2011年07月10日

井戸茶碗の故郷を訪ねて[1]

7月2日から9日までの7泊8日の旅は、井戸茶碗の故郷「熊川陶磁址」「頭洞里」を訪ね、また頭洞里のある宝賠山(ぼうばいさん)で、かつて井戸茶碗の成形に用いられた三白土を実際に採取してきた。

現在、熊川古窯址「頭洞里」には、資料館が建設中で、資料館をはさんで上下に古窯址が二つあった。
資料館の上には、青いビニールシートで覆われた登り窯の窯址。そして下方には小川の流れる松林に小さめの割竹式登り窯の窯址。いずれも原型をとどめていないが、付近にはたくさんの陶枕(トチン)や、窯壁、陶片などが埋れていた。

宝賠山は、その名の如く、かつて熊川陶磁の原材料がすべてこの宝賠山から採取できたほど、宝の山であり、その貴重な土(カオリン)は山全体を構成している。三白土と呼ばれている井戸茶碗に用いられたカオリンは、韓国のどこにでも存在しているものではないという。赤・黄・白の三色の混合がみられるカオリンである。粉青沙器・井戸茶碗・黒天目・軟質白磁・熊川茶碗・青磁など、美しい陶磁器が焼かれ、この熊川の陶工であった「巨関」は125人の陶工とともに日本に連行され、現在の三川内焼きの祖となっている。

私にとって長年の夢であった井戸茶碗の故郷「頭洞里」を訪ね、かつての陶工たちの心を感じ、その土に触れることが実現した。この夢を実現させていただいた崔熊鐸先生に心から感謝している。

今回[1]は、多少ではあるが、その旅の中から、まず頭洞里を紹介させていただきます。

建設中の熊川古窯址資料館
kinenkan.jpg

資料館後ろには登り窯も用意されている。
kinenkan-kiln.jpg

登り窯のカーブに用いられるマンデンイ
kinenkan-kiln-mandeni.jpg

熊川古窯址について説明されている看板(大きな登り窯址の前)
oldkiln-kanban.jpg

頭洞里古窯址(大きな登り窯)
oldkiln1.jpg

oldkiln2.jpg

資料館下にある松林内の古窯址(小さめの割竹式登り窯址)
oldkiln-matsu.jpg

oldkiln-matsu1.jpg

oldkiln-matsu3.jpg

oldkiln-matsu2.jpg

頭洞里で見つけた箆切り高台(高台切放し)の陶片
herakiri.jpg

頭洞里古窯址の陶片
tohen2.jpg

tohen1.jpg

tohen5.jpg

tohen4.jpg

tohen7.jpg

三島の施釉前の陶片
tohen6.jpg
posted by 丸山 陶李 at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗

2011年06月11日

青井戸茶碗「与太衛門」

不真面目ではないけれど。。。
6月10日(前半)のテスト焼成窯出し茶碗の中から、
その容姿が微笑ましいので、思わず「与太衛門」と銘してしまった(笑)。

正面には、青井戸茶碗の窯変がでている。
梅華皮も絶妙の面白さ。
傾いた表情が、見る人を喰っているかのよう。。。

こんな人に私の人生の中で出会ったように思う
「人を喰っている」かのような風情で、どこか凛とした品格があり、
奥深くに強い美意識を彷彿とさせられる眼力を感じる。
ちょっと凄くて、人を寄せ付けないようでいて、根底は暖かさで満ちている。
酒呑みで、足取りもおぼつかないが、人生というものを熟知している。

この茶碗を眺めながら、そんな「人格」を感じて、
「与太衛門!」と呼んでしまった。で、銘「与太衛門」!!

テスト焼成に選んだこの形は、どうしようもない形の茶碗だった。
竹で作った箆で削りの時、勢い余って、三段も削りをいれてしまった茶碗だ。
「梅華皮」のテストに丁度いいや・・・。
そんな気持ちで、潰さなかった。
重さも450gもあって、どうしようもなく重い。

欠点だらけのテスト茶碗だけど、どこか惹きつけられてしまう微笑ましさ。
神様の微笑として、手元に取り置いておこう、と思う。

「喜左衛門」さん、ごめんなさい。
私は、真面目に井戸茶碗に取り組んでいることだけは書き添えさせてください。

与太衛門/正面
yotaemon-surface.jpg

与太衛門/少し真面目な表情
yotaemon-side.jpg

与太衛門/見込
yotaemon-mikomi.jpg

与太衛門/高台
yotaemon-foot.jpg

与太衛門/梅華皮一景
yotaemin-kairagi.jpg
posted by 丸山 陶李 at 15:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗

2011年05月31日

水(乙)土 スウルト

多くの学びと恵みをいただいた韓国の旅だった。
今週は、一度テスト窯(ガス窯)を焚いてみようと思っている。
頭の中を、リセットして、一から考え直してテストしてみたいことがある。

頭洞里の井戸茶碗に使われていた釉薬原料の「水(乙)土」
mizutsuchi.jpg

この土を見ていると、長石を用いた釉薬ではなく、土と灰による釉薬を試したくなる。
灰も、木灰と貝灰(再び)・・・。

もう一つ。
長石そのもののテストだけれど、昨年テスト焼成してみたら、
高麗青磁の雰囲気が感じられたことと、生焼けの高麗青磁の陶片を虫眼鏡で見ていると、
この長石の溶け方と似ているところがあるので、なるべく持ち味を生かした調合にして、
再度テスト焼成してみたいものがある。

なんだか、轆轤を挽いている時以外は、頭の中が忙しい。
試してみたい調合、試してみたい原料、テストしたものを生かすために再テストしたい原料、等々。
陶片を眺めながら考えていると時間が経つのが早すぎて、テストしたいことが山盛り。
テストして少しずつ整理したい。

結局、これらは私の中では、繋がってくるのだけれど。
粉青沙器や高麗青磁や高麗茶碗、井戸茶碗へと。
ああ、もう一つ。黒高麗の釉薬テストもすすめたい原料がある。

頭洞里の土
ido-tuchi.jpg

7月には、もう一度、韓国へ飛んでみる。
今日、崔先生から電話をいただいて、頭洞里で予定されていた井戸茶碗の資料館開幕セレモニーが市長のスケジュールで10月に延期となったそうだ。
私は7月の陶芸講座の日程を調整してしまったので、空いている週ができてしまった。
これを機会として、一週間ほど頭洞里に滞在して、井戸茶碗の土や釉薬について、さらに確かめて、学びたいと考えている。
posted by 丸山 陶李 at 18:28| Comment(1) | TrackBack(0) | 井戸茶碗

2011年05月22日

聞慶窯・千漢鳳先生「高麗茶碗」再現に生きる

Mungyeong potter Doncheon "Chun, Han Bong" His Life!

十数年前、私は茶道の先生のご紹介で、千漢鳳先生の札幌展示会に伺った。
その時、「いつか先生の窯場に伺わせて勉強させてください。」と申し上げると、
先生は、ご自分の名刺をお出しになり、
「せっかく来ても、留守にしていたら申し訳ないから、来る時には、ここに電話してください。」とおっしゃった。
いつか伺おうと願いながら、月日は流れて言った。

今年「聞慶伝統茶碗祭り」に招待され、私は千漢鳳先生と再会した。
先生から直接招待されたのではないが、ご縁を感じた。
聞慶ではTV局や大学からインタビューを数回受けたが、私は特に李朝の粉青沙器の美しさ、
高麗青磁の美しさについて語らせていただいた。

高麗茶碗再現にかけた一生と言っても過言ではないだろう。
千漢鳳先生は、日本に生まれ、国宝「喜左衛門」に感動し故郷の聞慶に帰国してから、サバルと高麗茶碗を中心に作陶し続けてこられた。
「いまだに心を打つ井戸茶碗ができない。」と先生は謙虚に語る。

私のブース(インターナショナル茶碗交流)に会期中何度も足を運んでくださった。
そして、最後の日、午前中皆で先生の陶房を訪問することができた。

あれから十数年、補聴器をつけ、杖をつく先生の姿に歳月の流れを感じた。
同様に私も年を重ねた。
先生の作品展にお邪魔した後、主催者が先生の作陶光景が収められたビデオを拙宅に届けてくださった。
何度も何度も、繰り返し先生の轆轤成形や、釉薬の色、土の作りを拝見し、私は独学の学びを続けてきた。

その先生に再会し、多くの激励をいただいたことが、ことさら嬉しかった。
「日本に帰ったら、あなたの作品のカタログを送ってください。」そう仰ったので、
先日、写真集を先生に送付した。

私の青井戸茶碗をご覧になり、何度も手にとって、
「これを見て、ハッとした。思わずこの茶碗に目がいった。」
「これは大変なことになるかもしれないので、今のうちに買っておいたほうが良い。」これは冗談だろうと思うが(笑)。「聞慶伝統茶碗祭り」の中で「東日本大震災チャリティ・オークション」が開催され、私は二点茶碗を寄付したが、その一点の「枇杷茶碗」を先生のお嬢さん(千慶煕さん・二代陶泉)が落札してくださった。

帰国して先生にご挨拶の連絡を差し上げたが、
今日再び、先生の映像をYoutubeで拝見し、改めて尊敬する師に出会えたことに感動している。
千漢鳳先生は、このたびの東日本大震災にも日本赤十字を通して一千万円の寄付をしてくださった。
そんなこともさりげなく「ヨン様が十億円寄付したのだから、私も一億くらい寄付しなければと思ったけれどね・・・」と仰る。最近は、ペ・ヨンジュンさんが先生の陶房に泊まり込み陶芸修行をなさったとか。

私は、枝葉末節には全く興味がないのだが、千漢鳳先生の高麗茶碗にかける生き方と、温かく分け隔てのないお人柄に深く尊敬の念を抱いている。

2011/5/5 聞慶伝統茶碗祭り会場で
chunsensei.jpg
posted by 丸山 陶李 at 10:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗

2011年05月10日

Dream comes true! from Korea

Today I visited DO DONG RI.
There is a one of famous old kiln in Korea.
My dream comes true!!
I was very excited today, because I get a very very wonderful chance to learn about Ido-teabowl.
During about 8 hours, I speak a potter who lives in DO DONG RI.
Professor YU san introduced to me one of the potter who lives in DO DONG RI.
Today I can not use Japanese on my PC. so, sorry.
When I will go back to Japan, I would like to write about DO DONG RI.
Now, I introduce a peace of Ido-teabowl by a photo.

ido.jpg

posted by 丸山 陶李 at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗

2011年04月11日

桜の蕾のような井戸茶碗

震度6の地震に耐えて、窯の中から生まれてきた井戸茶碗です。

春の麗らかな桜の蕾のような・・・。
小貫入と梅花皮、そして枇杷色・・・。

110406ido.jpg
posted by 丸山 陶李 at 17:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗

2011年03月09日

大井戸茶碗

画像 022.jpg
*高台箆起し(高台切放し)
 轆轤上で高台周りは削ってしまってから、
 箆によって轆轤上の土と切放しています。
*化粧泥は使っていません。
2010年10月 窯出し
2010年12月 再焼成(焼き戻し)
(口径:16cm 高:9.3cm)
posted by 丸山 陶李 at 01:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗

2011年01月25日

あの轆轤目

bebera.jpg

この井戸茶碗を、なんと見るかは、見る方にお任せしましょう。

今年の私の井戸茶碗の課題の一つが、「あの轆轤目」なのです。



posted by 丸山 陶李 at 04:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗

2011年01月12日

物原

陶房横の物原(陶器が捨てられた所)。

monohara.jpg

昔から、物原を漁るのが好きだったので、今も、たまに自分の物原を漁ります(笑)。
陶片は、通常の作陶では気がつかなかったことを意外にも気づかせてくれることもあります。
陶片を片手に、虫眼鏡を片手に、ボーッと過ごす時間に至福を感じることがあります。

身近な人たちに、特に父によく言われました。
「お前は、小さい頃から、ボーッと考え事していることがあったな。」
「そういう時には、声をかけても、聞こえないんだよな。」

自分の個展の時にも、会場で、このトランス状態になることがあります(笑)。
ご来廊いただいている方に気がつかず、こういう状態になっている時に、
お手伝いしてくださった茶道のお友達から、「お客様いらしてるわよ」と、
声をかけられ、気づくことがあります。我に帰ります(笑)。

骨董や、陶磁器を拝見している時にも、なります・・・。
なぜなのか、わかりません。
ボーッとしている時間は、決して「逃げ」ではないのです(弁解)。

「ずっと、見ていたい。」
そう思うと、何事にもかまわれたくなく、囚われたくなく、そのモノを見続けていたいのです。
モノや陶片と、言葉ではない対話を楽しんでいるのです。
その楽しみは、アグレッシブで、何かを教えてくれて、何かを掴ませてくれるのです。

posted by 丸山 陶李 at 05:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗