2011年08月16日

井戸茶碗を捉え直す

韓国・頭洞里の4-500年前の「カイラギの出た陶片」もともと焼成不足で物原行きとなったものであろう。
この陶片を1,200℃で焼成テストした画像。
1,200℃でも「生焼け」である。

WoongCheonYo-1200.jpg

頭洞里で多くの陶片に囲まれた毎日を振り返ると、一番目にとまったもので多かったのが「生焼け」の陶片だったように思う。粉青沙器、白磁、青磁、黒高麗(黒天目)、井戸。そして、「素焼き」の陶片。
それらの陶片を目の当たりにして、「生掛け」信奉者(笑)であった私には、井戸茶碗について、「素焼き」をしていたことも見受けられることから始まり、根本的に考えなおしてみようと思ったきっかけともなった旅だった。

体も頭も忙しい(笑)、考えては土を練り、考えては釉薬を調合しなおし、考えてはテスト焼成し、考えては資料を読みあさり、ネットで検索し、轆轤を蹴りながらも、様々なテーマが小さな私のCPUに、ドッと押し寄せてくる。焼成したテストピースの画像を撮影しては、データを書き残し、パソコンデスクも食卓も陶房もテストピースで溢れてしまった。

「思うところがあって」「考えることがあって」やっていることなので、「片付ける」という感覚は今のところ毛頭ない(笑)。家族に「動かさないで」と頼んで、置かせてもらっている。以下、様々同時進行で考えなおしているポイント。

「生掛け」⇔「素焼き」
「長石」⇔「陶石」「陶土」(水乙土)
「釉石」⇔「できたら同じ原料を探したい」
「御本手の焼成パターン」⇔「白磁(酸化)の焼成パターン」
「枇杷色」⇔「白」「赤」「茶」「枇杷色」
「陶器」⇔「半磁器」「磁器」
「粉引」⇔粉引茶碗に分類されている「楚白」「有来」は、どうやら粉引ではなく、高麗白磁や李朝白磁に近いのではないか?茶黒色の胎土に白化粧ではなく、白いカオリン土に不透明な釉薬が掛けられており、「火間(掛け外し)」は、経年使用によるカオリンの色の変色ではないのか?
「小貫入」⇔「攻め焚き」に入るタイミングが「早すぎる」と貫入は大きくなる。小貫入は「攻め焚き」のタイミングを考慮すると納得できるものが得られた。
「長石釉」「陶石釉」⇔「灰釉」


李朝陶磁器は、その目にする感覚や手に触れた感触が柔らかく、静かな佇まいから、甘い焼き物と思われているが、カオリン質の陶土は白磁の焼成パターンと同様であり、そんなに柔な焼き物ではないことも再認識した。以前私は、カイラギの出方も生焼けででたカイラギではなく、焼き抜かれたカイラギを目指したいと書いたことがあるが、焼成カロリー、冷まし方も再考(オリジナルの窯の焼成冷却雰囲気を再考)。

参考に大西政太郎先生の書籍に提示されている「高麗白磁や李朝白磁の焼成パターン」と文章を引用させていただく。

001s.jpg

「珪土質の陶石ではなく、礬土質のカオリンを主体とした磁器土を用います。その焼成方法も一般的な酸化焼成法では、カオリンの質の柔らかい質感の磁器は得られないので、上記の表に示すような焼成パターンによらなければなりません。」(引用「陶芸と釉薬」より)

直近に焼成した「白い井戸」テストピース。これと同質なものが「粉引」に分類されている「有来井戸」「楚白」ではないだろうか??上記の「白磁(酸化)の焼成パターン」により、1,250℃で焼成した。小貫入が思った通りに現れてきた。(貫入がわかるように数時間紅茶を入れて洗い流し、その後放置、一日後にはハッキリと小貫入がわかるようになった。窯出しした時には、ただの真っ白い陶器だったが、紅茶を入れた部分にほんのりピンク色が滲んできている。
shiroido-test.jpg

こちらは、頭洞里から持ち帰った「三白土」に「灰」を少々添加しただけの釉薬をかけたテストピース。
「三白土」自体に、釉薬が縮れる成分が確認される。
sanpakutoglaze-surface.jpg

高麗・李朝の焼き物について、つくづく考えなおしたいのは、「特別なことはしていない」現地にある原材料で、主に「土」を主体にした灰釉の伝統であること。このテストピースを見ながら、私は自分の井戸茶碗の胎土と釉薬を根本的に見直し、考えなおし、変えました。直近のテストピースの胎土と釉薬、そして焼成パターンで、素焼きをしてから焼成してみようと考えています。一窯をダメにしたくはないので、慎重な上にも慎重を重ね、テストを繰り返して土と釉薬の調整をしている。昨日、ゼーゲルコーンを買い求めたが、3.11の震災によってゼーゲルコーンの会社が閉鎖し、すでに手に入らなくなっている。昔、代わりにオルトンコーンを使ったことがあるが感触は違っており、使い慣れたゼーゲルコーンが手に入らなくなったのは痛い。
posted by 丸山 陶李 at 15:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗
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