2010年12月25日

井戸茶碗一考察・化粧一考・「有楽」と「かすみ」

枇杷色の茶碗のテストのため、大道土を単味で化粧した胎土に、釉薬をかけて焼成してみた。

削った高台脇と高台内に梅花皮が出てきていた釉薬も、化粧をかけると梅花皮の出方に、アップライト系・カリ系長石での違いがでている。(また別の機会に書くつもりです)

荒い土でささくれたいた高台脇と高台内は、化粧をかけてしまうと、梅花皮とは別の風情を醸しだすが、梅花皮風にはなる。しかし、梅花皮風であり、梅花皮ではない。荒い土のなせる技という風合いである。

荒い土に化粧した胎土の梅花皮風・テストピース
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茶碗自体は、化粧をし釉薬をかけると、土に釉薬をかけただけの茶碗よりも中性炎ででる景色が楽しめる。有楽のような御本がでて、味わいがある。

東京国立博物館の有楽
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有楽見込み
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化粧していない土と釉薬だけの井戸茶碗(陶李作)で得た梅花皮
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魚屋茶碗「銘 かすみ
CA330091.JPG

この魚屋(ととや・斗々屋)茶碗「銘 かすみ」の画像を拡大してみて思ったこと。

この茶碗は「黄化粧」をしてから高台脇を削っている。

この茶碗を作った陶工は、黄化粧した茶碗を見て高台脇を一削りしようと考えたのだと思えてならない。

化粧して少し乾燥した状態で(つまり胎土が堅い状態)で削ると、この画像のように、ささくれ立つ。

ささくれの上の部分をよく見ると黄化粧された色がわかるし、削られて出てきた胎土の茶色が見える。

そして黄化粧だけでなく、生掛けで釉薬も掛けてしまってから、この高台脇を削っているとも思える。

何にでも通じる事だろうけど、発想の転換は思考を柔軟にしてくれるが、李朝の陶工の美意識と大胆さ、そして発想の柔軟さには感服!

井戸茶碗と化粧
粉青沙器の一つとも考えられる井戸茶碗である。化粧していたとしても不思議はない。
大道土による化粧をしてから釉薬をかけてテストをしてみた結果、色合いは枇杷色にもなるし、有楽のような御本もでて美しい。化粧独特の肌合いも感じられる。

しかし、梅花皮は、上記の私の化粧をしない井戸茶碗で得た梅花皮が本当の梅花皮であろうと考えている。荒い土に化粧をした梅花皮風のテストピースを見ていると、本当の梅花皮とは違う。萩の井戸茶碗は化粧して素焼きしてあるものが多いが、梅花皮は荒い土に化粧した梅花皮風であることが多い。もちろん萩の井戸茶碗にも本当の梅花皮がでているものもある。荒い土に化粧して梅花皮風を出すのは荒い土で、ささくれの出る削りをすれば容易に得ることができるが本当の梅花皮は土と釉薬と焼成、冷ましの妙である

高台脇取りと高台内部分には化粧をかけないで、全体を化粧をした粉青沙器としての井戸茶碗が、本歌の井戸茶碗なのかもしれません。

粉青沙器としての井戸茶碗。化粧していた可能性は大いに在ります。しかし高台脇取と高台内にも化粧したのだろうか?
無地刷毛目と呼ばれる粉引のように、そして魚屋茶碗「かすみ」の例のように、高台周辺には化粧をしていないのではないだろうか?またもや、一つの発見と課題を井戸茶碗の考察に追加することになりました。

++++++++++追記++++++++++
2016年11月17日

その後、井戸茶碗古窯址の陶片をよく観察し(韓国陶芸家に「化粧をしている」と言う方も実際いらして、「この陶片をよく見てみると、化粧しているのがわかる。」と言われた陶片です。)
井戸茶碗古窯址の陶片
hakujiidodotori005.jpg

私自身の白磁の焼成パターンで焼成した井戸茶碗などの実験検証により、カオリン質の胎土では、化粧をしたように見える焼き上がりになるものもあるのだ、と考えを改めました。
2015年に焼成した拙作井戸茶碗(粗質白磁として捉え、白磁の焼成パターンで焼成したもの。)上記の韓国古窯址の陶片と同じように薄く化粧をしたように見える。しかし、化粧はしていない。カオリンを胎土に用いると、このように化粧していないが、化粧を薄くしたかのように見える。
2015年に焼成した拙作井戸茶碗
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posted by 丸山 陶李 at 20:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗
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