2010年11月08日

たとえば明日

窯出しを終え今日、ご注文の徳利や香炉は発送させていただきました。
庭の「お茶の花」を黒高麗徳利に活けて、徳利にも花にも葉にも水をたっぷりと吹きかけてあげました。

cha.jpg

からからの土が、炎の洗礼を受けた土が、私の手で練られ調合された土が、
私の陶芸家としての勘一つで調合した黒高麗の釉薬と相まって、
水を喜び、再び水の洗礼を受けて、しっとりと輝いています。

今日は私の誕生日でした。
朝メールチェックをしたら、たくさんのお祝いのメールが入っていて驚きました。
(私の個人情報の一部がこんなに漏れているとは!・笑)
郵便ポストには、陶李会の佐藤会長から、誕生日祝いに音楽会のチケットが届いていました。
まったく久しぶりのコンサートです。
札幌にいた頃は、演奏会の会場が身近で、音楽仲間と楽しむ機会が多かったのですが、
取手に来てからは、足が遠のいていました。
心身ともに余裕もなかったのでしょう。

誕生日は、生まれてこのかた出会った多くの皆さんに感謝する日だと思っています。
一人では生きていけない、それが人間なのだと思います。
愛されなければ愛することすらできない、それが人間なのだと思います。
これしきの私ではありますが、この不完全で欠点も多い私如き人間を、
慈しみ、愛し、導いてくださり、励ましてくださる多くの皆さん。そして神に感謝を捧げたいと思います。

誕生日にひとつ決心をいたしました。
いよいよ「井戸茶碗」の序章として、「井戸ぐい呑」をオンラインショップ「Gallery 陶李」で紹介させていただくことを決めたのです。
井戸茶碗「俄羅奢」は、すでに世にでました。嫁いでいきました。
めざす大井戸茶碗「右近」は、これから生まれてくる茶碗です。

たとえば明日。
私が召されても、
「右近」を生み出せなかったことを悔みはしないだろうと思ったのです。
土から始めて成形、釉薬、焼成と、私だけの井戸茶碗を目指して歩んでこられたこと自体がしあわせではないでしょうか。
目指すところがあって陶芸家として歩んでこられたこと自体が、しあわせではないでしょうか。やらせて頂けるギリギリの体力と精神力と知恵と閃き、を与えられたことに感謝しないでいられましょうか。

そこで、今日は「井戸ぐい呑」五点のための桐箱を注文しました。
いつもの私の箱と紐、そして覆紙です。
販売する、ということは人の手に渡り世に出るということです。
私の陶芸家としての真価を問うことでもあります。
その決心を、誕生日の今日いたしました。

ido-guinomi.jpg

先のブログで紹介しました「箆切り・切放し高台」の「井戸ぐい呑」や「井戸茶碗」も、
作品として世に出す予定でおります。

井戸茶碗を基本においた花入れや香炉なども構想の中にあります。

「正念場」を迎えている自分自身が見えています。

しかし、たとえば明日、息をしていなくとも…
ここまで好きで好きでたまらない井戸茶碗の追究ができたことに、悔いはないのです。
大井戸茶碗「右近」が生まれてこなかったとしても、
それはそれで神の御旨であると「はい」と受け入れることができます。
なぜなら、ここまで好きなことを続けてこられたことを思うと、
苦労や痛みよりも感謝が大きいからです。

神の御旨ならば、右近も生まれてくるでしょう。
と、窯出しした作品を手にとりながら、穏やかで静かな心を戴きました。
何よりの誕生日プレゼントを頂戴いたしました。
皆様に「ありがとうございます」と申し上げます。





posted by 丸山 陶李 at 20:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 夢は枯野を
この記事へのコメント
二年前から、ホームページTOPは時折拝見させていただいておりましたが、このブログを今日、はじめて見つけました。

精力的に作陶なさっている様子がみえて安心しました。

今週末、そちらに出向いてみたいと考えますが、茶碗等見せていただきたいのですが、ご在宅でしょうか?7日に釜だしされたとかで、楽しみなものでして、突然のメールで申し訳ございませんが、貴殿の作品をじかに手にとって鑑賞してみたいのです。

ご連絡をいただけると幸いです。

私のプロフィール:表流で茶歴15年の、茶ぐらい(かけだし)のもです。
Posted by 小林俊一 at 2010年11月16日 11:35
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