2009年09月15日

トチの実

織部焼きは、青緑の陶器。
あの青緑の発色は、酸化銅(CuO)を釉薬の呈色剤として数%用い酸化焼成(純粋ではないけれど。還元焼成も通り抜けると見た方が良いと思われる。純粋な酸化焼成ができるのは電気窯だけである。)時に得られるものです。

私は、自作釉薬で織部釉を調合しましたが、現在は作品には使用していません。ただ、生徒さんには一度は織部という焼き物を体験させてあげたいと思い、生徒作品は織部釉を用いることがあります。

さて、この織部釉。私の窯は登り窯と焼成雰囲気が似ており、なおかつ意図的に還元雰囲気での焼成帯を通る焼き方をするので、窯内の置き場所によっては、酸化と還元の両方の発色を炎がかもし出してくれる場合があります。

時に、「片身替り」という窯変(ようへん)が青緑と辰砂(赤色〜ピンク色)となって残り、酸化銅を使った釉薬は焼成により大変雅味のある作品となって窯出しされることがあります。

以前にブログで、紹介した生徒の花入れも、焼成により見事な片身替りとなったものです。

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さて、この織部焼きですが・・・
焼成すると、酸化銅により「金属黒」と呼ばれる一種の皮膜がでます。酸に浸して、この「金属黒」と言われる皮膜をとる場合が多いのですが、昔から伝わる方法として、「トチ渋」に織部焼きの陶器を浸して皮膜をとる事が知られています。

しかし、現在このトチ渋を手に入れる、自分で作る環境はなかなかありませんので、多くは「酢」やらサンポール(トイレ掃除用・笑)など工夫されて、皮膜を取り除いているようです。

さて現在通勤している研究所には、私には珍しい植物でもあるトチの木がたくさん植えてあり、道すがら大きな可愛らしい実が落ちているのをやり過ごしていましたが、

今日、トチの実の殻を拾わせていただき持ち帰りました。

生徒思いの私のことですから、もちろん、生徒たちの織部焼きに、自作のトチ渋を使わせてあげたい、という親心です(笑)。

次回の教室では釉がけをしますが、焼成後の織部の作品に利用できるよう、明日はトチ渋作りです。

こちらが、トチの実の殻。

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posted by 丸山 陶李 at 22:12|