2015年03月13日

餌畚茶碗と井戸茶碗

ehugochawanDSCF5382.jpg

こちらは昨年、感銘を受けた餌畚(えふご)茶碗の形に惹かれ、
また、日本の猿投窯の山茶碗にも触発され、
餌畚茶碗の形を受けた茶碗を制作してみたものです。。

粉引餌畚茶碗
KOHIKI EFUGO CHAWAN
"Ehugo" style original chawan is a collection of SEIKADO BUNKO MUSEUM(Tokyo, Japan).
It is a bowl of Chinese Song Dynasty(11-12C).
I was given the inspiration to that bowl.
I was covered with Dipping white clay ceramic technique of Korea Lee dynasty.
Glaze is my original that was affected by the Goryeo celadon.
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餌畚(えふご)と言うと、茶の湯では「唐金餌畚建水」が利休所持として、よく知られている。
「餌畚」というのは、鷹匠が用いる餌入れ、餌畚(えふご)に形が似ていることからこの名があるそうだ。
袋形で上部が開いている。建水としてこの餌畚形は、その使い勝手の良さ、独特の形状と安定感によるところが大きいのではないだろうか。

餌畚という形で、利休が好んだのは、建水だけではなかった。

静嘉堂文庫に、11-12宋時代の白磁「餌畚茶碗」が収蔵されている。
口径16.4cmというから、大振りな茶碗だが、高台内に朱漆で利休の花押がある。
内箱には「えふご」と書かれ、内箱裏には千宗旦の高弟・藤村庸軒の筆がある。
特筆すべきは、この茶碗が高台内の利休の花押が示すように、利休が「見出し茶碗」として取り上げたことであろう。
口縁が厚く、胎土を捻り返しているように見える。
白磁とはいえ、使い込まれて、現在は釉薬の掛かっていない部分は茶色に変化している。
灰釉が掛かっている部分は、細かい貫入が入っている。
どっしりとした安定感のある形、口縁の力強さ。惹きつけられるような茶碗である。


面白いことに、この茶碗の形は、踏襲され、同じ静嘉堂文庫に、
楽家七代楽入作の「餌畚写し茶碗」が収蔵されている。
釉掛かりと言い、胎土の色合いといい、口縁の捻り返しまで、しっかりと写されている。
こちらは、本歌よりも小さ目で、口径15.1cmとある。

以上、二碗の「餌畚茶碗」を見ると、中国宋時代のものが、日本江戸時代に写されて賞玩されてきたことがわかるが、
私は驚きをもって、この形を意外なところで知ることになった。

それは、2013年11月-12月に開催された根津美術館の「井戸茶碗展」であった。

大井戸茶碗・古井戸茶碗・青井戸茶碗と分類され展示されていたが、
青井戸茶碗の中に二碗、餌畚茶碗と形が酷似した茶碗を見た。
釉胎は井戸茶碗であり、土も赤土を用いているようだ。枇杷色とは全く違うのに、井戸茶碗としての風格を持ち合わせている。

一つは、松平不昧公が所持し愛用した青井戸茶碗・銘「白露/異風」(個人蔵)である。
口縁が厚く、高台も広く、利休が「見出し茶碗」として所持していた「えふご茶碗」の形である。
図録には「口縁が大きく歪み、高台も揺らぐように見える茶碗は、不昧が好んだようで、楽山焼などで写しをさかんに作らせている。」と解説があった。
「異風」の銘が、この青井戸茶碗からくる雰囲気が、多くの井戸茶碗と形や作りから受ける雰囲気が異なるものがあるからだろうか?と想像せずにはいられなかった。

もう一碗は、同じく井戸茶碗展で展示されていた青井戸茶碗・銘「涼及」(根津美術館蔵)である。
口縁が捻り返されて厚く、さらに指または、なめし皮、あるいは布で、口縁はやや細く押さえられている。
青井戸茶碗・銘「白露/異風」と同じく、「えふご茶碗」を彷彿とさせられる個性的な井戸茶碗である。

古くは中国・宋時代のやきものが、
韓国・日本と、各々を代表するやきものの中に、繋がっていることは、偶然ではなく、
この餌畚茶碗という形に、独特の美を見出した茶人たちの審美眼によるものだろうと考えている。




posted by 丸山 陶李 at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗
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