2012年12月27日

井戸茶碗の土

原土から作った私の井戸茶碗の土。
12月22日(土)から26日(水)まで5日間、釉薬の微調整のためテスト焼成を六回行いました。

新年の初窯を予定しています。
茶碗ばかり100碗を焼成します。
(テスト焼成で10碗ほど使ってしまいましたが…)。

本番は薪を投入して焼成しますが、
テストは小さなガス窯です。

本日、朝、六回目の焼成を終えて窯出ししました。
ガス窯は、還元焼成がしやすくて、本当にいろんなテストが出来、学びになりました。
ガス窯の窯焚きは、一番楽だと思います(電気窯はテストには良いけれど)。
温度管理も還元の具合も思うまま、ちょっとしたタイミングで自由自在です。

小貫入が攻め焚きのタイミングによるものであることも、六回の焼成すべてで確認でき、またそのタイミングをデータとして把握できました。

李朝の陶工たちは、釉薬の濃度や攻め焚きのタイミングを、炎で見分けてきたのだと思いますが、本当に凄いなぁ、と、あらためて経験と体験を身に沁みこませる道程を思いました。
原材料はさておき(現地で採取できるものですから)、彼らの轆轤技術や、釉薬調整能力、窯焚きの確実性には、目をみはります。

灯油窯の焼成は、こうはいかない(私の窯は灯油窯で薪が投入できる)。
「薪窯を焚くなら、灯油窯を何度も焚いておけ」と、ある亡くなった陶芸家が仰っていましたが、普段から灯油窯で焼成をしていると、薪窯の焼成時にも非常に良い経験となります。

さて、今朝、六回のテスト焼成による茶碗を並べてみました。
左から一回目、一番右が最後の六回目と縦列が進みます。

「ひっつき」で壊した茶碗や、釉薬の「生掛け」時に崩した茶碗もあります。
それらを取り除いて、データ管理のため写真を撮影しておきました。

すべて同じ「井戸茶碗の土」を用いており、釉薬も微調整しただけなので、ほとんど同じ釉薬です。
そして、すべて「生掛け」してボーメを記録してあります。

高麗茶碗の様々なバリエーションが、「炎」の窯変によるものであることがわかります。

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※左から二列目の上の茶碗と三列目の茶碗は、還元落しで焼成したものです。(青い発色の三碗)。

※右下に二つの「高台」だけのテストピースがありますが、こちらは私の現在用いている「井戸茶碗の土」ではありません。素焼きしたものを、今回のテストの窯に同じ釉薬を掛けて、梅華皮のテストをしたものです。

※今回の窯は、窯内の最低温度となる場所が、すべて1230℃から1250℃の高温焼成をしています。

posted by 丸山 陶李 at 19:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗

2012年12月12日

Je vous souhaite un joyeux Noël.

Je vous souhaite un joyeux Noël.
銀彩陶胎漆衣茶碗(左)、金彩陶胎漆衣茶碗(右)

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毎年、年末に都内の電車や地下鉄に乗車すると、人身事故のニュースが耳に入ることが多く、
胸が痛くなります。

生きていくのがつらくなり、思いつめることもあるでしょう。お腹がすいたら寒さが痛く感じることでしょう。

良いクリスマスを。。。と願わずにはいられません。
ミサイルとか核開発とか、どうして闘うことばかりに開発費を投入するのでしょう。
国を単位としてみると、人間全体、世界全体が「塀の中の懲りない面々」に映ります。

隣の一人のお腹が空いて生きる力を失いかけている人にパンのたった一切れを、暖かいスープを。

「分かち合い」こそミサイルより強い人間の力ではないでしょうか。。。

posted by 丸山 陶李 at 18:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 制作過程・窯出し作品

2012年12月08日

古美術 桃青「恋する骨董展」で井戸茶碗一考察

12月7日、17時18分頃、大きな横揺れを伴う地震が続きました。
とても長い時間揺れていたので、大きな地震の予兆かと心配しましたが、
その時、私は東京銀座の古美術店「桃青」で開催中の「恋する骨董展」にお邪魔していました。

ちょうど、大きな揺れの時、拝見していたのが、「蕎麦茶碗」でした。
即座に仕覆を被せて、損壊のないように茶碗をまもりました。

この日、この「蕎麦茶碗」の他にも、多くの高麗茶碗の逸品を手にとり拝見させていただけて、
至福のひとときでした。

博物館では手に触れることができない茶碗たちを、手にして、触らせていただいて、肌を愛でて、やはり違います。勉強になりました。

オーナーの冨永民雄様ご自身が好きで蒐集なさったコレクションで、
高麗茶碗を次から次へと、私のために箱から出してくださり、本当に有難いことでした。

一点の茶碗から、私は井戸茶碗の原型はこれではないか?と直感しました。
冨永様のご好意により写真を撮影させていただき、「井戸茶碗一考察」の貴重な資料として公開させていただきます。

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この茶碗は、生焼け(半分)ですが、井戸茶碗の形を挽きあげるプロセスがわかる、大変貴重な茶碗であり、高台には見事な巴が切ってあります。

片身替わり伊羅保茶碗「初雁」にみられる巴高台と酷似しています。窯の特定もできるかもしれませんし、土も井戸茶碗の陶片が出土している中でも、もっとも古い時代の赤い土の特徴を持っています。

見込みには湿台の跡も残り、「井戸茶碗」「蕎麦茶碗」の独特の形が成り立っていった様子がわかります。
釉胎は、高麗青磁末期の釉胎、を直感させられる緑色の釉胎です。


不思議なのは、半分生焼けなのですが、高台畳付きにも、見込みにも「目跡」が確認できないことです。
窯の火回りのあまりよくない場所で、一点で陶枕に乗せて焼成されたのでしょうか?

口径は大井戸茶碗と同じくらいにケジルッパ(箆)で広げられているのですが、
井戸茶碗の轆轤目を入れようとして底から土をぐっと挽きあげる過程が省略されており、不完全な形のまま焼成されているのです。

挽きあげきっていない底(高台脇取り周辺、見込み)は厚く土が残っています。


土を挽きあげきらずに、この形で焼成したでしょうが、今はこの形で残していたものがあったことを感謝せずにはいられません。

釉薬も、高麗青磁や緑釉系統の緑色を呈しており厚くかかっています。
片身替わり伊羅保茶碗「初雁」には、半身に井戸茶碗の釉薬、半身に緑釉(チェユウ/日本では伊羅保)が掛かっていますが、高台には、この井戸茶碗の原型の高台に見られる独特の「巴(ともえ)」と同じ巴高台が残っています。
緑釉は、韓国の伝統的な釉薬の一つで、もっとも古い釉薬の一つでもあります。

青井戸茶碗「落葉」の画像をみると、さらに納得できるかもしれません。
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もどりますが、この茶碗こそ井戸茶碗の原型をとどめている貴重な一点ではないでしょうか?
想像をたくましく、触発されるもののある、茶碗でした。

これは、本当に貴重な茶碗です。

「恋する骨董展」は、明日12月9日(日)まで。
「古美術 桃青」〒104-0061 東京都中央区銀座7−10−8第五太陽ビル1階
 (銀座7丁目資生堂ビルの向かいを入って、二つ目の通りです。)

この他にも、大井戸茶碗「有楽」に酷似した釉肌を持った「井戸小服茶碗」や、鶏竜山と思われる刷毛目茶碗、美しい「粉引茶碗」など、多数の高麗茶碗や、粉青沙器が展示されています。
posted by 丸山 陶李 at 16:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 井戸茶碗

2012年12月05日

Cavin-Morris Gallery(ニューヨーク)

この12月、ニューヨークのCavin-Morris Galleryで、
私の作品二点が展示中です。
2012年の作品から、陶李志野茶碗と刷毛目茶碗です。
Galleryのオーナーが画像を10点紹介してくださいましたので、
ブログにアップします。

陶李志野茶碗

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刷毛目茶碗2012

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次回の窯は井戸茶碗100碗だけを焼成する予定で準備を進めています。
挽いては壊し、挽いては壊し。の毎日です。
井戸茶碗はやはりタダモノではない。人生の終焉に一つだけでいい。
大井戸茶碗を残したい。

こちらの画像は直近の制作より大井戸茶碗(乾燥中)です。

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昨晩は、ご注文の井戸ぐい呑(お引き出物・記念品)を挽き、寒くなり乾燥が遅いので
小さなぐい呑みは、削りのタイミングを逃さないように、待機していましたら、
削りを終えたのは朝方。徹夜になりました。

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私にとって井戸茶碗の最大の謎は、どんな人がどんな思いで挽いたのだろう、と。
そればかりを良く考えます。
正念場です。
気を抜かずにいないと風邪をこじらせそうな寒さです。
posted by 丸山 陶李 at 20:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 陶芸・個展関連