2010年12月11日

見テ知リソ知リテナ見ソ

以前、エッセイ集のタイトルにもした柳宗悦の言葉「見テ知リソ知リテナ見ソ」。「物は、見てから知れ、知ってから見るな。」「見て初めて知るのだ、知ってから見るものではない」と知識偏重を戒める言葉と私は理解しています。

原土を合わせて、成形用の土を作り、長石や灰を選んでは調合を繰り返し、
轆轤でテストピースを挽いては、小さなテスト窯で試験を繰り返しています。

最近、私のかけがえのない友は…。
「虫メガネ」です。
老眼鏡をかけた上に、さらに虫メガネで、焼きあがった器胎の土味や、特に貫入を見ています。貫入は窯出し後に徐々に増えていくので、どのくらい小貫入が入るか楽しみなのです。窯から出されて育ち続ける、そんな風に感じています。
時折、貫入の境目に、土から引き出された、あるいは釉薬から引き出された色を見ると歓喜します。

やきものの面白さを実感します。

地球上にある物質が炎の中で色形を変え、やきものとして生まれ出てくる。
ただ「焼いた」ということよりも、
最近は専ら「炎の中で引き出されて、生まれてきた!」
ものに目がいっています。

梅花皮も、貫入も、窯変も、物質と物質の調合によりできる、こうやればこうなる。
それでは面白くもなんともないのです。

土味を生かし、原材料の持ち味を生かし、炎の力と窯の神のもとで、
感嘆と感動を味わえる、そんな焼きの面白さに目を輝かせています。


今日も数種類の土と釉薬のテストをしました。
そして、その中から数点、再度、テスト窯に入れ「焼き戻し」をしました。
焼き戻しとは、再加熱なのですが、私の窯焚きは中性炎から還元焼成、そして酸化へと戻すパターンの焼成が多いのですが、還元焼成では、土にも釉薬にも、焼き締まりも色も形も酸化焼成とは違うやきものとなりますが、還元焼成の影響のない酸化焼成の炎の中で、再度、加熱し、土の持っている色を酸素たっぷりの状態の色へと戻してやるのです。

窯変のでた物を焼き戻ししても、窯変は変わりませんし、
梅花皮のでたものは、梅花皮のでたままです。

志野を焼く時、還元状態で最高温度域まで持って行き、冷却時ある温度帯に下がった頃合いに、酸化焼成でひっぱり、キープすると、美しい緋色がでます。
辰砂なども、この温度域でひっぱってやると美しい赤色になることがありました。

還元がかかる温度帯では土も釉薬も酸欠状態ですが、この温度域の還元の影響を受けない温度帯で、酸化焼成し、土の色を焼き戻して出してあげるのが焼き戻しです。

かつて札幌の陶房を訪ねてくださった方は、故芳村俊一先生と全国のあらゆる土を焼いてみるという興味深い実験をしていらっしゃいました。吉村先生の著書も頂戴しました。その吉村先生が、よく「焼き戻し」により土本来の持っている色を引き出してみる、という実験をなさっていたのです。

小さなテスト窯のおかげで、これは!と思うテストピースや小作品を焼き戻して、数時間で結果を見ることができるのは有り難いことです。

やってみてわかる。わかった気になっていて分かっていないことがある。
見テ知リソ知リテナ見ソの学びの日々です。


今日も、目を見張るような面白い色が土と釉薬から引き出されていました。
数点、画像を紹介します。

こちらは「焼き戻し」前のテストピースたちです。
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焼き戻し後。
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大井戸茶碗も焼き戻ししてみました。
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posted by 丸山 陶李 at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 夢は枯野を

2010年12月05日

フル稼働

12月に入り、街中の空気が何か気忙しい。
轆轤を立って挽けるように設置しなおし、土や釉薬のテストを繰り返し、
幾種類かの長石や原土を取り寄せ、調合し、
今までのデータとテストピースを基に、
原点から私の井戸茶碗の原材料の見直しをして毎日が過ぎています。


窯小屋から出て見上げる夜明け。大地はピンク色に染まり、幻想的なグラデーションを見せてくれる。
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窯小屋と陶房を往復する夜中
澄み切った空気の中で夜空の星が冴え冴えと輝いている。太古から星を見上げて人々は宇宙の神秘を思い、時が経つのもおかまいなく何度も何度も、あの星たちを見上げて「人は何ものなのか?」と真理の探索もしただろう。
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長石のテストを繰り返し、
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土のテストを繰り返し、
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古陶磁の陶片を矯めつ眇めつ、時を忘れ資料をあさり、
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残り土やクズ土を乾燥し、土練機にかけ再生し、
(全部で500kgありました!)
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陶芸講座受講生の作品を焼成し、本日、手渡して釉薬の講義を終え、
昨日は、本窯の生焼け作品をテスト窯で再焼成し、その後

今日は、テスト窯で「焼き戻し」による土の色のテスト焼成を行った。
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(左の井戸茶碗が「焼き戻し」したもの。右は焼き戻しをしていないものです。)

私も窯もフル稼働の師走です。
風邪が流行っています。
皆様も、どうぞご自愛くださいますように。







posted by 丸山 陶李 at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 夢は枯野を