2009年09月22日

織部・志野の心

先週いきなり発熱し38℃を超える熱で苦しみましたが、処方していただいた薬で落ち着いていたため、回復かと思いきや・・・
徹夜の窯焚きの後、爆睡から目覚めてから再び発熱。昨日・今日とまた寝込みました。

それでも大汗かきながら、生徒作品を窯出しした私って自虐はいってますか(笑)。

今回の生徒たちへの課題は「下絵付け」でした。
弁柄による下絵付けで、織部や志野の作品を作ってみようという試みです。

通常、李朝の焼き物を主流としている私ですが、志野は陶芸家になりたいと思わされたルーツの焼き物です。焼成は李朝の焼き物と志野とでは全く違うので別窯で焼く事になります。

今回の窯焚きは生徒作品のみでしたので、私の作品はありませんが、窯出ししながら、日本独特の焼き物である織部や志野は、私にとってやはり捨てきれない魅力ある焼き物の心と美意識に訴えるものをもっていると感じました。

赤い土に緑の釉、そして黒い下絵。この三色がかもし出す織部の魅力はデザイナーとしての古田織部の斬新さを感じます。
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うっすらと浮かび上がる志野のなかの下絵。これもピカピカクッキリした色絵とは違い、一味押さえ気味の表現の中に、日本の情緒を感じます。
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こちらは、生徒たちが自作調合した「斑唐津」の作品です。
下絵付けはありませんが、釉薬の調合は上出来です。
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posted by 丸山 陶李 at 20:48| 志野・鼠志野

2009年09月20日

桃栗三年・・・

臨済宗の「桃栗3年、柿8年、梅はスイスイ13年、梨はゆるゆる15年、柚(ゆず)の大バカ18年、ミカンのマヌケは20年」は、本当の意味は人生一つのことをやり遂げるのに努力をした人は、3年、努力を怠った人は20年かかるといい、努力することが大切だと教えています。

取手市に移転して、三年前に庭に植えた苗木のうち、
今年、佐藤錦(サクランボ)が実をつけてくれました、
お茶の葉も、まぁるい実がなりました。今は花盛り。
実に良い花です。

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アケビは毎年、実をつけてくれています。三年かかりませんでした。ムベも実をつけてくれます。
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イチジクも今年はじめて一時に複数収穫できるほど実ってくれました。イチジクは、大好物のコンポートにして、冷やしていただいています。今も、窯焚き(生徒作品のみ)しながら、朝、収穫したイチジクを煮込んでいます。

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そして・・・植えて三年目の栗が収穫できました。品種は「つくば」というモノですが、実が大きくて甘いです。栗は煮て食べますが、ある日ガスを止めるのを忘れて(汗)栗の実がお鍋の中ではじけて「パーン!!」と音が聞こえました。慌ててガスを止めたのですが、怪我の功名と言うのか、焼き栗となった実が美味しく甘かった事が病みつきとなり、今日も収穫した栗を煮てからお鍋のなかでカラカラと転がして焼き栗っぽく仕上げました。皮がはじけてきた頃にガスをとめます。美味しいですよ。

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窯焚き中に、もう一仕事(笑)。
38度以上の熱が続いて病院へ駆け込んだのですが、インフルエンザ検査は陰性でした。翌朝もう一度近所の病院で検査してもらいましたが、やはり陰性。薬で熱を下げて、昨日は頑張って生徒の釉がけにカルチャーセンターにも行きました。今日は、窯詰めをして午後火を入れました。たまにフラッっとするのですが、熱が下がって動きやすくなったので、動き回っています。

熱のある時、ネーブルオレンジがとても美味しくて、おかゆとオレンジで乗り越えた発熱でしたが、そのオレンジの皮を煮込んで、オレンジピールも作りました。天日乾ししているオレンジピールです。窯小屋に脚を運びながら、天日乾ししているオレンジピールをパクリ!とつまみ食いするのですが、元気がでる美味しさです。(笑)。

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イチジクや栗を収穫して「本当に桃栗三年だ!」と思いました。
何事も実りを迎えるには、相応しい時間がかかるものですね。


posted by 丸山 陶李 at 16:05|

2009年09月15日

トチの実

織部焼きは、青緑の陶器。
あの青緑の発色は、酸化銅(CuO)を釉薬の呈色剤として数%用い酸化焼成(純粋ではないけれど。還元焼成も通り抜けると見た方が良いと思われる。純粋な酸化焼成ができるのは電気窯だけである。)時に得られるものです。

私は、自作釉薬で織部釉を調合しましたが、現在は作品には使用していません。ただ、生徒さんには一度は織部という焼き物を体験させてあげたいと思い、生徒作品は織部釉を用いることがあります。

さて、この織部釉。私の窯は登り窯と焼成雰囲気が似ており、なおかつ意図的に還元雰囲気での焼成帯を通る焼き方をするので、窯内の置き場所によっては、酸化と還元の両方の発色を炎がかもし出してくれる場合があります。

時に、「片身替り」という窯変(ようへん)が青緑と辰砂(赤色〜ピンク色)となって残り、酸化銅を使った釉薬は焼成により大変雅味のある作品となって窯出しされることがあります。

以前にブログで、紹介した生徒の花入れも、焼成により見事な片身替りとなったものです。

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さて、この織部焼きですが・・・
焼成すると、酸化銅により「金属黒」と呼ばれる一種の皮膜がでます。酸に浸して、この「金属黒」と言われる皮膜をとる場合が多いのですが、昔から伝わる方法として、「トチ渋」に織部焼きの陶器を浸して皮膜をとる事が知られています。

しかし、現在このトチ渋を手に入れる、自分で作る環境はなかなかありませんので、多くは「酢」やらサンポール(トイレ掃除用・笑)など工夫されて、皮膜を取り除いているようです。

さて現在通勤している研究所には、私には珍しい植物でもあるトチの木がたくさん植えてあり、道すがら大きな可愛らしい実が落ちているのをやり過ごしていましたが、

今日、トチの実の殻を拾わせていただき持ち帰りました。

生徒思いの私のことですから、もちろん、生徒たちの織部焼きに、自作のトチ渋を使わせてあげたい、という親心です(笑)。

次回の教室では釉がけをしますが、焼成後の織部の作品に利用できるよう、明日はトチ渋作りです。

こちらが、トチの実の殻。

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posted by 丸山 陶李 at 22:12|

2009年09月11日

箱書きを終えて

オンラインショップGallery陶李から、
三点、そして高麗茶碗作品集より一点が嫁いで行きます。

先ほど、「箱書き」を終えて梱包しました。
「黒伊羅保茶碗(オリジナル)」「柿の蔕茶碗」は奇遇ですが、
同じ日に窯出しした茶碗です(2006年6月28日窯出し)。
兄弟姉妹同然の二つの茶碗が、同じところに嫁いで行く事に気づいたら、
旅の途中も、嫁ぎ先でも兄弟姉妹で語り合うこともあるだろうなぁ、とちょっと楽しそうな様子を想像してしまったお嫁入りです。
この子たちは、どんな話をするのかな。
二つとも可愛がってもらえますように!

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「志野鎬一輪挿し」は、「緋色」を得た焼成に満足できた志野のお思い出の作品。2007年の「銀座エインカレム」個展で展示した作品です。もう一点、「志野はぜ徳利」は、2008年の栃木「筍心堂」個展で展示しました。

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明日、ヤマト宅急便VIP扱いで発送予定です。

「箱書き」の時は、茶碗に合わせて作っていただいた桐箱の蓋に、まず「とのこ」を摺り付けて墨が滲まないようにします。
私の「桐箱」「覆い紙」と「紐」「右近布」は、桐箱の業者さんに指定してある茶色の和紙と紐が付き、茶色の右近布が付きます。

茶道の先生方には、お箱の覆い紙と紐の色合いも好評で、
「お箱もいいのよね〜!」とお言葉をいただきます。

このたびのお買い上げいただきました方から、
『(高麗茶碗)作品集で「柿の蔕茶碗」を拝見したときには腰がへなへなとなるほどに感動し、すっかり参ってしまいました。』
と、メールを頂きました。

茶碗は「出会い」だと思うのです。
気に入っていただいた方に出会えて、喜んで嫁いでいけるのでは・・・と我が子が嫁ぐかのように、作品を梱包した私の耳には、今日ラジオで耳にした「山口百恵」の「秋桜」の音楽が流れていました。






posted by 丸山 陶李 at 23:29| 制作過程・窯出し作品